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仙台地方裁判所 平成5年(行ウ)8号 判決

原告

花京院旧国鉄跡地の不正貸付をただす会

右代表者

宮田猪一郎

右訴訟代理人弁護士

青木正芳

山田忠行

増田隆男

小野寺信一

吉岡和弘

半沢力

佐藤由紀子

齋藤拓生

被告

仙台市長

藤井黎

右訴訟代理人弁護士

荒中

主文

一  被告が原告に対して平成三年一一月三〇日付けでなした別紙文書目録記載の文書を開示しないとの処分を取り消す。

二  訴訟費用は被告の負担とする。

事実及び理由

第一  請求

主文と同旨

第二  当事者の主張

一  請求原因

1  当事者

原告は、平成元年一月一一日、旧日本国有鉄道(以下「国鉄」という。)花京院跡地の不正貸付けをただすことを目的として結成された権利能力なき社団である。

2  本件開示請求に至る経緯等

(一) 仙台市は、国鉄から取得を予定していた花京院宿舎跡地(以下「本件土地」という。)につき、いわゆる民間活力の導入として、右土地の開発計画提案を広く募集した上で、優秀計画を選考し、提案者をもって開発協力予定者とすること等を基本方針として、昭和六〇年五月一〇日、「国鉄花京院用地開発計画提案募集要領」(以下「本件募集要領」という。)による本件土地の開発計画提案の公募(以下「本件提案募集」という。)を開始し、同年七月一〇日及び一一日に応募者七グループの開発提案を受理した。そして、仙台市は、同年一二月二七日、選考委員会を開催し、東北電子計算機専門学校、東北電子計算機株式会社、三菱地所株式会社、カメイ株式会社及びフジタ工業株式会社(以下「東北電子専門学校」、「東北電子」、「三菱地所」、「カメイ」及び「フジタ」という。)を構成メンバーとするグループ(以下「Dグループ」という。)の提案計画を優秀計画と内部決定し、昭和六一年七月七日、そのことが応募者に通知された。その後、本件土地のうちC―第二画地(以下「C―第二画地」という。)において、右Dグループの計画提案(以下「本件提案」といい、その提案書を「本件提案書」という。)に含まれていた東北電子計算機専門学校が平成元年四月一四日開校した。

(二) しかし、右提案募集及び優秀計画の決定は不公正になされた疑いがあり、右提案書中の別紙文書目録記載の文書(以下「本件文書」という。)は、右疑いの解明に不可欠な文書である。

(三) 原告は、平成三年一〇月一日、被告に対し、仙台市情報公開条例(以下「条例」という。)五条、八条に基づき、本件文書の開示を請求した。

3  本件処分等

(一) 被告は、右開示請求に対し、同年一一月三〇日付けで、本件文書の非開示部分を公開することになれば、開発計画図等について提案者の有する技術ノウハウ、営業活動上の秘密・信用力に関する情報、内部管理情報が公になり、当該法人の競争上又は事業運営上の地位が損なわれるとの理由により、条例六条三号に該当するとし、また、本件募集要領において、「応募提案書類の著作権は、それぞれの応募者に帰属する。主催者は、優秀計画の公表等提案募集実施に関する報告のため必要な場合を除き、応募提案書類その他の応募者から提出された書類を公表しない。」旨定めており、本件文書の非開示部分を公開することになれば、募集要領に示した条件に明らかに反することとなり、関係当事者間の信頼関係を損なうおそれがあり、将来の同種事業の公正又は適正な執行に支障が生ずるおそれがあるとの理由により、条例六条四号に該当するとして、本件文書の開示を拒否した(以下「本件処分」という。)。

(二) 原告は、本件処分に対し、平成四年一月二九日付けで、条例一一条に基づき異議の申立てをしたが、仙台市公文書開示審査会は、平成五年七月二〇日付けで、被告の右処分は妥当であるとの答申をし、被告は、それを受けて同年八月一六日付けで原告の異議申立てを棄却した。

4  しかし、本件文書の開示請求は、条例六条三号及び四号に該当せず、被告の本件処分は違法である。

5  よって、原告は、被告に対し、本件処分の取消しを求める。

二  請求原因に対する認否

1  請求原因1は不知。

2(一)  同2(一)は認める。

(二)  同(二)は争う。

(三)  同(三)は認める。

3(一)  同3は認める。

(二)  同4は争う。

三  抗弁

情報公開制度は、全国各調査の地方公共団体が自主的に設けている制度であるところ、これを条例上の制度とする場合であっても、その内容は当該地方公共団体の自主的判断に基づいて定められている。

それ故、地方公共団体が公文書の開示を求める権利を条例上の制度として定めた場合、当該権利は、原告がいうように憲法に基づく権利ではなく、あくまでも条例に基づく権利であり、その具体的内容は当該条例に従い規律されることとなる。

従って、本件文書が開示すべき公文書に該当するか否かについては、条例中の関連事項の法文の具体的解釈に基づき判断すれば足りるものというべきところ、本件文書は、以下に述べるとおり、条例六条三号、四号に該当するため、実施機関たる被告は、これを開示しなかったものであり、その判断は適正である。

1  本件文書全体についての非開示理由

(一) 条例六条三号該当性

本件文書には優秀計画と認められた提案者の提案内容が詳細に記載されており、その提案趣旨、地区及び建築物整備計画の概要、開発計画図部分には、提案者がその知識と技術を駆使し数々の創意工夫を凝らした技術ノウハウが含まれ、土地取得及び処分計画の概要部分には、新たに事業を行う場合の営業活動の計画に関するノウハウ、信用力に関する情報が含まれ、これらが公開されることになれば、当該提案者もしくは提案者を構成する各企業の競争上又は事業運営上の地位が損なわれることになる。また、本件文書は条例六条三号但書所定の情報にも該当しない。

よって、本件文書は条例六条三号に該当する。

(二) 条例六条四号該当性

本件提案募集は、広く民間の活力と英知を導入して、民間の資金等により本件土地の開発を図るため実施したものである。そのため、仙台市においては、本件土地を国鉄から買収した際、仙台市で利用しない残りの土地は民間に転売するとの方針が決定しており、その転売先の選択方法として右募集をしたのである。右の経過により、右募集は、提案者自らの責任と負担で開発を行うことが前提となっていたので、仙台市では、提出された書類に配慮し、著作物として慎重に取り扱うことにしたものである。その結果、本件募集要領において、「応募提案書類の著作権は、それぞれの応募者に帰属する。主催者は、優秀計画の公表等提案募集実施に関する報告のため必要な場合を除き、応募提案書類その他の応募者から提出された書類を公表しない。」旨定めていた。そして、右にいう「優秀計画の公表等提案募集実施に関する報告のため必要な場合」とは、提案募集の審査結果を公表するため必要な範囲内で、すなわち、提案者の著作権を損なわない範囲で優秀計画の概要を報告すること等を念頭において付したものである。このように後日公表しないことを前提にして本件提案募集がなされたのであり、本件文書には右前提があったからこそ記載された情報が含まれているのであるから、当然右非公開約束は尊重されなければならない。本件文書を公表することになれば、募集要領に示した条件に明らかに反することになり、関係当事者間の信頼関係が損なわれ、将来の同種事業の公正又は適正な執行に支障を生ずるおそれがある。

よって、本件文書は条例六条四号に該当する。

2  各非開示部分毎の非開示理由

(一) 本件文書一五頁(Ⅳ―2.地区整備費の概要)のうち、基盤整備費の分担の民有地の取得金額及び移設金額の部分について

この部分には、土地費の内訳として西側民有地の取得費、南側民有地の移設費及び東側民有地の取得費の金額が記載されている。

右記載されている民有地の一部は、花京院地区整備事業として仙台市又は仙台市土地開発公社(以下「公社」という。)による買収が予定されている部分であり、本件処分時には、右民有地の一部の地権者との間において買収交渉の諸手続が既に開始されていた。このような状況下で、右買収予定対象となっている民有地の数が少ないことにより、各民有地の補償費の内容が推定されることになるため、これらの情報を公開することになれば、当該土地の地権者に予断を与え、無用の誤解又は混乱を招くことになり、今後の用地交渉の公正又は適正な執行に支障を生ずるおそれがある。

よって、これらの情報は条例六条四号に該当する。

(二) 本件文書一六頁(Ⅳ―3.東ブロック土地開発計画 3―1民有地の開発手法)の全部について

この部分には、民有地の開発手法の説明として、①現況の土地の面積、建物の面積・構造及びそれらの位置、②当該民有地の補償費及び土地買収予算の記載がある。

(1) 右のうち①は、民有地を所有区分毎に分けた上で、土地の面積、建物の面積、構造及びそれらの位置を記載したもので、個人の財産状況に関する情報であり、特定個人が識別され得る情報である。これらの情報を公開することになれば、個人のプライバシーが侵害されることになる。

よって、これらの情報は条例六条二号に該当する。

なお、条例六条二号但書は、法令等により何人でも閲覧等をすることができるものとされている公簿の謄本等が公文書の一部であるときは、その部分については開示をするという趣旨であり、公簿の謄本等から得られた複数の情報が集約され当該文書が作成されている場合にまで開示を認める趣旨ではない。

(2) また、右に記載されている民有地の一部は、前記のとおり花京院地区整備事業として仙台市又は公社による買収が予定されている部分であるところ、右①、②の記載を組み合わせれば、対象となっている民有地の数が少ないことにより、各民有地の補償費の内容が推定されることになるため、これらの情報を公開することになれば、当該土地の地権者に予断を与え、無用の誤解又は混乱を招くことになり、今後の用地交渉の公正又は適正な執行に支障を生ずるおそれがある。

よって、これらの情報は条例六条四号に該当する。

(三) 本件文書一七頁(Ⅳ―3.3―2東ブロックデベロッパーの事業計画)の全部について

この部分には、東ブロックにおける事業の長期事業収支及びそのための設定条件(総事業費、資金調達、教育事業による収支)が記載されている。

これらの記載は、事業計画に関する情報であり、生徒一人あたりからの収入の見込みや当該収入の今後の上昇率見込み、支出総額の総収入に対する割合、支出総額の見込み、今後の事業の収支の見通し等企業の経営戦略の根幹をなす情報であって、最も高度な企業プライバシーに関する情報である。

そして、本件提案が複数の企業から構成されるグループによってなされていても、右提案の内容となっているノウハウ、創意工夫等は個々の企業に帰属するものであり、個別的な権利義務の主体たり得ないグループに帰属するものでないことは誰にも容易に理解し得るところであって、これらの情報を公開することになれば、提案者たるDグループを構成する個々の企業の競争上又は事業運営上の地位その他社会的地位が損なわれる。

さらに、本件処分時には、東ブロックの各施設の経営主体は東北電子専門学校から経営権の移管を受けた学校法人日本コンピュータ学園(以下「日本コンピュータ学園」という。)が同ブロック内において東北電子計算機専門学校を開設するに至っており、一七頁の各記述等を開示すれば、その経営戦略を公開することになり、結果的に、同校の生徒募集等の業務遂行上著しい支障を生じ、また、他校との間での極めて不利な競争を強いられて学校経営上回復困難な打撃を受ける可能性があるとの状況にあった。

よって、これらの情報は条例六条三号に該当する。

(四) 本件文書一九頁(Ⅳ―4.4―2西ブロック民有地、権利者について)の全部について

この部分には、提案者が再開発事業を行うための民有地の権利資産の評価額、権利者に対する補償額とその説明、総事業費の負担区分額及び権利者の期待収入の額が記載されている。

(1) 右のうち、民有地の権利資産の評価額の記載は、個人の財産状況に関する情報であり、特定の個人が識別され得る情報である。これらの情報を公開することになれば、個人のプライバシーが侵害されることになる。

なお、公示価格等と公図等を突き合わせれば個人の固定資産のおおよその評価をはじき出すことが可能であることと、情報公開制度で個人の情報がどの範囲まで保護されるべきかということとは別の次元の問題である。すなわち、ある手法又はシステムにより把握され、又は推測されることになる個人の情報であっても、情報公開制度の中では保護される場合がある。

よって、これらの情報は条例六条二号に該当する。

(2) また、本件文書において、提案者は西ブロックの民有地の地権者と共同で再開発事業を行い、賃貸オフィスビルを建設することを計画したところ、右記載のうち権利者の期待収入の額及びその基本となる右賃貸オフィスビルの賃貸料及び敷金の設定に関するものは、同オフィスビルの経営上のノウハウに関する情報であり、経営戦略ともいうべき企業プライバシーに関する情報である。

そして、前同様、本件提案が複数の企業から構成されるグループによってなされていても、右提案の内容となっている情報の公開によりDグループを構成する各企業の競争上又は事業運営上の地位その他社会的地位が損なわれることは前と同様である。

さらに、本件処分時には、右オフィスビルの経営主体は三菱地所及びカメイと判明しており、一九頁の各記述等を開示すれば、結果的にその経営戦略を公開することになるという状況にあった。

よって、これらの情報は条例六条三号に該当する。

(3) さらに、提案された区域の一部である西ブロックの民有地を含む花京院一丁目地内では、本件提案と同様の手法による再開発事業を目的とする準備組合が平成四年度に設立され、同組合による地権者の権利資産の評価及び補償の積算並びに期待収入の額等の想定、地権者との協議を予定しているところ、ここに記載されている情報を公開することになれば、当該土地の地権者に予断を与え、無用の誤解又は混乱を招くことになり、今後の組合再開発事業の公正又は適正な執行に支障を生ずるおそれがあり、当該組合の事業運営上の地位その他社会的地位が損なわれる。

よって、これらの情報は条例六条三号に該当する。

(五) 本件文書二〇頁(Ⅳ―4.4―3西ブロックデベロッパーの事業計画)の全部について

この部分には、事業計画の前提条件、総事業収支、初年度経常収支、長期採算計画の記載がある。

これらの記載は、前記賃貸オフィスビルの経営計画の策定に関するものであり、賃貸料収入及び敷金の設定、とらえ方等は右オフィスビルの経営上のノウハウに属する情報であり、経営戦略ともいうべき企業プライバシーに関する情報である。

そして、前同様、本件提案が複数の企業から構成されるグループによってなされていても、右提案の内容となっているノウハウ、創意工夫は個々の企業に帰属し、これらの情報の公開によりDグループを構成する各企業の競争上又は事業運営上の地位その他社会的地位が損なわれる。

なお、前記のとおり、本件処分時には、右オフィスビルの経営主体は三菱地所及びカメイと判明しており、二〇頁の各記述等を開示すれば、結果的にその経営戦略を公開することになるという状況にあった。

よって、これらの情報は条例六条三号に該当する。

3  処分理由の追加について

前記のとおり、本件提案書は、その内容をなす各記述等は勿論のこと、これらの複合的総体も提案者のノウハウ、創意工夫の所産というべきところ、右文書につき、提案者のノウハウ、創意工夫が認められる部分とそうでない部分を容易に分離することは困難であり、また、これが分離できたとしても、右文書の開示の趣旨を損なうことになることから、これを前提として、本件処分においては、本件提案書全体に共通する非開示理由として、前記1(一)、(二)のとおりの条例六条三号及び四号の各非開示理由を掲げたが、その後、右文書のうち、相当部分について開示した際に、右従来の主張を前提に、これに追加して主張を補完する趣旨で、新たに前記2の主張を掲げたのであり、非開示理由を差し替えたものではない。

すなわち、本件処分時に、本件文書が個人の財産状況に関する情報で特定個人が識別され得る情報及びこれを前提とする買収、補償に関する情報を含むことは当然の前提とされていた。

従って、右追加した個人のプライバシーに関する理由、事業活動情報に関する理由及び行政運営情報に関する理由についての各主張は、従前の主張の延長上にある主張であって、条例九条四項の趣旨に反するものではない。

四  抗弁に対する認否

本件文書一五頁の記載内容が土地費の内訳としても西側民有地の取得費、南側民有地の移設費及び東側民有地の取得費の金額であることは認め、その余は不知ないし争う。

被告の開示義務免除条項該当性の主張は、各非開示部分に対応した個別の開示義務免除事由の主張となっていなかったり、「地権者に予断を与え、無用の誤解又は混乱を招く」などという具体性に欠けるものであって、失当である。

五  抗弁に対する原告の反論

条例一条は、条例制定の目的を「市民の市政参加の促進、公正な市政の確保及び市政に対する市民の信頼の増進を図るため」と規定し、このように、条例は、憲法二一条等に基づく市民の「知る権利」、憲法一五条による参政権や憲法が保障する民主主義、国民主権主義、住民自治の基本原理を基礎として、これらの憲法上の基本的人権ないし原理を仙台市政において実質的に保障すること、及び市政の公正な執行と市政に対する市民の信頼を確保するために制定されたものである。このことは、条例において、「開示を請求する権利を定めた(あるいは創設した)」との文言ではなく、「開示を請求する権利を明らかにする」との文言を用いた上、公文書の開示を原則とし、一定の場合に開示義務を免除する仕組みを採用していることからも明らかであって、右開示請求権が単なる条例上の権利であるとする被告の主張は誤りである。

従って、条例の解釈にあたっては、憲法を頂点とする全法秩序との整合性を視野に入れつつ、開示義務免除条項の文言を吟味、検討するという体系的、目的論的な解釈を行い、非公開となる情報が必要最小限度となるように留意すべきである。このような観点から本件処分を検討するに、次のとおり、本件文書が条例六条三号及び四号に該当しないことは明らかである。

1  本件文書全体についての非開示理由について

(一) 条例六条三号該当性について

(1) 本件提案募集は、もともと公共の用地であった本件土地に、民間活力を利用して公共公益的施設を作るための、協力者選定手続であり、応募者もそのことを熟知して、本件提案募集に応募したのであるから、本件提案募集に関する情報は高度の公益性を有しており、公開が原則とされなければならないし、また、これが最優秀案として実施された暁には、自ずと明らかにされるべき性質のものである。

(2) そして、Dグループの計画は一部であるが既に実現しており、この観点からも、その内容の公開をはばかる理由はない。

(3) しかも、本件文書の開示により公になるのは、Dグループが共同で作成した開発計画の提案内容であり、右提案内容がそのままDグループを構成する個々の企業の技術的ノウハウ等に直結しているわけではなく、右提案内容が公表されても、右各企業の信用力を落としめることはあり得ない。

(4) なお、前記開示請求権の根拠及び条例が「当該法人に不利益が生じる」等との文言ではなく、「競争上又は事業運営上の地位その他社会的地位が損なわれる」との文言を採用していることを考慮すると、条例六条三号により開示義務が免除されるのは、当該情報が「秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないもの」(不正競争防止法二条四項)に該当する情報であって、それが損なわれる場合、すなわち、それらに実質的な被害が客観的に生じる場合に限られると解すべきところ、本件文書の内容につき、被告は、「ノウハウ」、「信用力に関する情報」、「内部管理情報」といった不明確な主張をしているに過ぎず、それだけでは右開示義務を免除される情報に該当するとはいえないし、その開示によって生じる被害の内容ないし程度も、保護に値するほどのものとは考えられない。

(5) 従って、本件文書は条例六条三号に該当しない。

(二) 条例六条四号該当性について

(1) 法による行政の原理のもとで、条例の授権なしに行政機関が「後日公開しない」旨の約束をすることができるのかどうかは疑問であり、右約束は、その法的効果及びその及び得る範囲も定かではなく、法的には無意味であるというほかはない。そして、本件提案募集に応募した者は、優秀計画と認められ、開発協力者に選ばれた以上、募集要領の「優秀計画の公表提案募集実施に関する報告のため必要な場合」に該当するものとして、自らの提案した計画、選考結果が公表されることは覚悟すべきであり、右約束が守られることに対する期待は保護に値するものとはいえない。従って、優秀計画と認められたDグループの提案内容、選考結果を公表しても、関係当事者間の信頼関係に影響を及ぼすことはないし、選考結果の公表により、将来同種事業を実施する際、提案が躊躇されたり、斬新な提案がなされなくなるということもあり得ない。

(2) さらに、被告は、本件文書は任意提供情報に該当するとするが、行政改革委員会行政情報公開部会報告が非公開特約付任意提供文書を議論するのは、「ある種の情報は非公開を前提として初めて受け渡されるという流通形態がある。」との認識を前提とするところ、本件文書は、参加が任意である本件提案募集に応募するために必要なものとしてこれに参加する企業が作成したものに過ぎず、この点において、既にその前提を欠く。

その上、本件文書による情報は、任意提供情報としての、行政機関の要請を受けて、公にしないとの約束のもとに任意に提供され、かつ、常例として公にしないとされているもので、非公開約束の締結が状況に照らし合理的であると認められるとの要件を欠き、本件文書を公開することによって、関係当事者間の信頼関係が損なわれたり、同種事業の公正又は適正な執行に支障が生じたりすることもない。

また、条例が、明文で、国等との秘匿約束に関する規定(六条六号)を置いたことに鑑みれば、情報提供者との間の公開しないとの約束の対象は、情報の性格上、信頼関係の保持が特に強く要請される場合等に限られるべきであって、単に、右約束に違反することによって関係当事者間の信頼関係が損なわれるおそれがあることを根拠に条例六条四号に該当するとすることは原則として妥当でない。

(3) そして、仮に、公開することによって、実施機関たる市長の主観において不都合と判断される事態があるにしても、「事務事業の公正又は適正な執行に具体的な支障が生ずるおそれが客観的に明白な場合」に該当するとはいえず、従って、右のような理由で公開を拒否することは、仙台市における情報入手の便益を不当に重視して情報公開制度潜脱の口実を与え、情報公開制度の意義の大半を失わせる危険をもたらすことになり、許されない。

(4) さらに、被告は、例えば、当初は本件土地の一部を転売する予定であったものを賃貸することにしたなど、募集要領をほとんど守っておらず、そのことにより、既に被告と参加企業との間の信頼関係は、完全に破綻している。

(5) よって、本件文書は条例六条四号に該当しない。

2  各非開示部分毎の非開示理由について

(一) 非開示理由について

(1) 一五頁の記載について

被告の主張は具体性に欠ける上、民間企業であるDグループの立案した、昭和六〇年の時点でのブロック毎の民有地取得費の公表が、将来いつ行われるとも知れない仙台市等による各民有地の補償費の内容を推定させ、これに影響を与えるとは考えられない。本件処分時に買収交渉があったとしても、右取得費が算定された時点とは全く経済環境が異なっており、補償費を推定する資料とはならない。

また、条例六条四号は、「実施機関が行う事務事業に関する情報であって、公開することにより、当該事務事業又は将来の同種の事務事業の公正又は適正な執行に支障が生じるおそれのあるもの」を開示しないことができるとしているところ、公社は右実施機関に当たらない。

(2) 一六頁の記載について

① 本件文書の公開がプライバシーの侵害となるという点について

民有地の土地建物の面積、構造、位置は何人も法務局に行って公図、登記簿謄本を取れば容易に知ることができる事項であり、個人の秘密であるプライバシーには該当しない。

② 本件文書の公開が将来の買収の支障となるとの点について

右(1)と同様である。

(3) 一七頁の記載について

本件提案募集段階では、東ブロックのコンピュータ教育施設、コンピュータ研究施設、市民文化センター、予知医学センターは、誰が経営主体になるか決定していなかったのであり、一七頁記載の事項はあくまでDグループ全体としての案であるから、これを公表したからといって、Dグループを構成する個々の企業の競争上の地位等を損なうものではない。

また、右案の計画内容と、その後経営主体に決まった日本コンピュータ学園に変更された後の経営計画が一致するとは限らないから、右公表により、同学園によって設立された東北電子計算機専門学校の競争上の地位等を損なうものでもない。

(4) 一九頁の記載について

① 条例六条二号該当の主張について

土地の価格については、公示価格、相続税の路線価評価額が公開されており、それと公図、謄本を突き合わせれば各人の固定資産のおおよその評価をはじき出すことは可能である。こうした公的システムが一方にある以上、Dグループによる評価額が明らかになったところで、それによって評価を受けた民有地所有者のプライバシーが侵害されるということにはならない。

また、土地の公共性に鑑みれば、特定の土地の価格評価が、その所有者のプライバシーとして保護されるということはできない。

② 条例六条三号該当の主張について

この点についても、本件提案募集段階では、原告の主張する西ブロックの賃貸オフィスビルの経営主体は決定していなかったのであり、また、右オフィスビルの建設は結局実現しなかったのであるから、その期待収入の額等を公表したからといって、Dグループを構成する個々の企業のプライバシーを侵害したことにはならないし、そのことは後日、右経営主体が決定したことによっても変わらない。

また、準備組合の再開発事業への影響の点についても、昭和六〇年時点でのDグループの評価の公表が、これから行われる再開発事業に障害を及ぼすとは考えられない。

(5) 二〇頁の記載について

右(4)②と同様、本件提案募集段階では、西ブロックの賃貸ビルの経営主体は決定していなかったのであるから、事業計画の前提条件、総事業収支の記載も、将来できるであろう賃貸オフィスビルの経営のアウトラインを示したに過ぎず、Dグループを構成する個々の企業の経営実態を示すものではない。従って、これらを開示しても、右個々の企業の競争上又は事業運営上の地位その他社会的地位を損なうものではないし、そのことは後日、右経営主体が決定したことによっても変わらない。

(二) 処分理由の差替えについて

条例が理由付記を求めた趣旨は、非開示理由の有無について実施機関の判断の慎重と公正妥当を担保してその恣意を抑制するとともに、非開示の理由を開示請求者に知らせることによって、その不服申立てに便宜を与えるところにあることに照らせば、従前と同一性のない理由に変更したり、同一性のない理由を追加したりすることは許されず、以下のような被告の理由の追加は右条例の趣旨に反するものである。

(1) 条例六条三号該当性について

被告は、本件処分における右理由として「建築計画図・事業費等についての記載がある」と述べ、これをもって「技術ノウハウ、営業活動上の秘密、内部管理情報等」に該当するとしているが、これと本訴における被告の条例六条三号該当性についての主張を比べれば、その量も内容も異なっている。そして、前者の主張から後者の主張を予測することはできず、また、後者の主張を前者のように要約することもできないから、被告の本訴における主張は、本件処分時には想定されていなかったものというべきであり、そのような理由の追加は処分の慎重、公正妥当を確保する見地からして失当である。

また、土地区画整理組合の事業運営上の地位その他社会的地位が損なわれるとの点については、本件処分時には全く言及されておらず、新たな理由の追加である。

(2) 条例六条四号該当性について

被告は、本訴において、一五及び一六頁につき、非開示理由として、仙台市又は公社による用地買収において地権者に予断を与え、無用の誤解又は混乱を招くことにより、今後の用地交渉の公正又は適正な執行に支障が生じるとの点を挙げている。

しかし、被告は、本件処分における右該当事由として、Dグループ各社と仙台市との間の信頼関係を損なうおそれを挙げていたに過ぎず、右理由から仙台市又は公社による用地買収や今後の用地交渉等に関することまで想定することはできない。

従って、本件処分の際に付記された理由と、本訴で主張される非開示理由は同一性を欠く。

(3) 条例六条二号該当性について

条例六条二号該当性についても、本件処分の際に指摘されてはおらず、被告の、一九頁の「民有地の権利資産の評価額」についての主張は新たな理由の追加である。

第三  当裁判所の判断

一  請求原因事実中、2(本件開示請求に至る経緯等)の(一)及び(三)、3(本件処分等)並びに抗弁事実中、2(各非開示部分毎の非開示理由)の(一)の本件文書一五頁の記載内容については、いずれも当事者間に争いがない。

二  そこで、本件処分の適法性について判断するに、右当事者間に争いのない事実に、証拠(甲二ないし六、八、九、乙二ないし七、九ないし一二、一四ないし一七、二〇の1ないし5、二一の1ないし3、二二及び二四の各1、2、弁論の全趣旨)によれば、以下の事実が認められる。

1  当事者

原告は、平成元年一月一一日に結成された権利能力なき社団である。

2  本件処分に至る経緯

(一) 本件土地

本件提案募集当時、仙台駅北部地区は、仙台駅の北側に位置する約4.8ヘクタールの地区であり、その立地にもかかわらず、戦災復興土地区画整理事業区域から除外されたこともあって、都市基盤整備が遅れていたため、仙台市がその都市開発方針の中で、同地区の一体的な再開発を促進し、都市の拡大、強化を図ろうとしていたところ、本件土地は、右地区の中央を占める約1.5ヘクタールの大規模空閑地であった。

(二) 本件提案募集

仙台市は、国鉄の所有地であった本件土地につき、昭和五八年四月八日付けで取得の意思決定を行い、国鉄当局との間で交渉を継続していたが、昭和六〇年五月七日、右土地の取得及び周辺地区整備についての基本方針を定めた。

右基本方針においては、①仙台市は、右土地を取得し、市街地開発事業の種地として活用することにより右地区全体の都市機能の更新と土地の高度利用を促進すること、②右土地は、面積規模が大きく、仙台市が全面的に活用することが見込めないため、直接活用以外の用地の処分問題も考慮しなければならないが、さらに、当該用地の開発整備をより効果的に実現し周辺地区の市街地整備を促進するためには、どうしても隣接民地との一体的整備が必要となり、より柔軟な対応が求められることなどから、右土地の開発整備にあたっては広く民間の活力と英知を導入し、開発整備の方針に合致した開発を行う民間の開発者を選定すること、③本件土地の開発提案を広く募集し、提案された開発計画の計画内容、実現性等を審査の上、優秀計画を選考し、提案者をもって開発協力予定者とすること、④優秀計画を選考する機関として、選考委員会を設置することなどが定められていた。

そして、右基本方針の下、仙台市は、同月一〇日、本件提案募集を開始した。右提案募集の際の募集要領においては、右基本方針と同様の内容の趣旨説明のほか、開発計画提案の対象地は、本件土地全部及びその隣接地であること、開発計画提案は二以上のものが共同して行うことができ、この場合には一応募者とみなすこと、開発計画提案の条件及び応募手続等が定められていたほか、応募書類の取扱いとして、応募提案書類の著作権は、それぞれの応募者に帰属し、主催者(仙台市)は、優秀計画の公表等提案募集実施に関する報告のために必要な場合を除き、応募提案書類その他の応募者から提出された書類を公表しない旨が記載されていた。

(三) その後の経過

(1) 仙台市は、同月一四日に、右募集要領の説明会を開催し、その中で、仙台市は、国鉄から用地の譲渡を受け次第、開発協力者に所要の用地を有償で譲渡すること及び開発計画提案の対象地である本件土地のうち、別紙図面Aの部分については、仙台市が直接活用を予定していること等を含めて説明した。そして、同年七月一〇日及び一一日に、それぞれ単独ないし複数の企業から構成される応募者七グループの開発計画提案を受理した。

(2) しかしながら、右のとおり、仙台市の右開発計画は、国鉄から本件土地を取得した後、所要の土地を開発協力者に譲渡することを内容としていたため、国鉄から、民間への売却は公共性の面から問題があるとして、右の民間活力導入の方式について難色が示され、さらに、仙台市と国鉄との間で交渉を重ね、同年一二月中旬ころには、国鉄から本件土地の利用計画について、基盤整備事業及び公共施設の建築は仙台市が行う、これらの残地を優秀計画者に貸し付けるとの条件が出され、仙台市においても、これを了承することで、ほぼ合意ができていた。

(3) ところが、仙台市においては、右のとおり、本件提案募集の前提となった条件が変更されることになったにもかかわらず、これを考慮することのないまま、同月二七日、国鉄花京院用地開発計画選考委員会を開催し、右応募者七グループの中から、東北電子専門学校、東北電子、三菱地所、カメイ及びフジタを構成メンバーとするDグループの計画提案を優秀計画と決定した。

(4) その後の昭和六一年六月二七日、本件土地の利用計画について、仙台市長と国鉄仙台鉄道管理局長との間で、国鉄が提示した前記(2)の条件を仙台市が容れる形で、①国鉄用地については、仙台駅北部地区整備構想の一環として仙台市が作成した土地利用計画書に基づき使用するものであること、②道路及び公園については、都市計画事業及び仙台市の単独事業として施設整備を行うものであること、③公共公益施設(仮称総合福祉プラザ)の建設については、仙台市の事業として行うものであること、④都市計画事業による代替用地以外の用地については、転売をしないものとし、仙台市の所有地として当該地域にふさわしい施設を建設し活用するものであること、⑤仙台市は、国鉄用地の取得事務を公社へ委託することができるものとすること等の基本了解事項につき合意がなされた。

その結果、本件提案募集の際には、仙台市が開発協力者に、本件土地を譲渡することが前提となっていたが、これが不可能となった。また、右合意の内容となった仙台市作成にかかる土地利用計画書においては、本件土地のうち、別紙図面A、B及びDの部分は、それぞれ、仙台駅北部第一南地区市街地再開発事業にかかる権利者の代替住宅建設用地、仙台駅東第二土地区画整理事業の代替用地、歩行者道等とされ、同Cの部分についても、南側(第一画地)を仙台市の施設である仮称「総合福祉プラザ」(現仙台市シルバーセンター)の建設用地とすることとされたため、本件提案募集によるいわゆる民活方式によって開発計画が実現できる区域は、同Cの部分の北側のC―第二画地に過ぎないこととなった。そして、このことを後記のとおりのDグループの計画提案の内容と対比すれば、Dグループの計画提案の中で、実現可能なものはコンピュータ関係の教育施設の建設のみとなった。

(5) このような状況の下で、同年七月七日、本件提案募集の各応募者に対し、本件提案募集の選考結果として、Dグループの計画提案を優秀計画と決定した旨の通知がなされた。

(6) 一方、前記国鉄との間の基本了解事項についての合意を受け、仙台市は、昭和六二年二月一〇日、本件土地に加え、公社の代行買収により隣接民地を取得し、公共施設を整備することによって地区環境の向上と土地の高度利用を促進することなどを事業方針とする花京院地区整備事業の方針を決定した。

(7) 同年三月一一日、Dグループを構成する東北電子専門学校、東北電子、三菱地所、カメイ及びフジタは、東北電子専門学校及び東北電子がほぼC―第二画地の部分に専門学校校舎を建設運営すること、三菱地所及びカメイは、別紙図面Bの部分につき、仙台市と国鉄間の協議の状況に応じ、仙台市に協力して右区域を中心とした地区の再開発事業の推進に努めること、フジタは、仙台市及び共同提案者間の連絡調整にあたり右各事業計画の実現に努めるものとすること等を内容とする基本協定を締結した。

また、同年四月一〇日、仙台市、東北電子専門学校の設置者である持丸寛二(以下「持丸」という。)、東北電子及びフジタは、仙台市が、C―第二画地を所定の手続を経て取得し、持丸及び東北電子に貸し付けること、東北電子及び持丸は、右土地部分にコンピューター関係の教育施設を建設すること、持丸は、右建設された施設のうち、東北電子の所有にかかる部分を借り受け、自己の所有にかかる部分と合わせて、東北電子計算機専門学校の校舎として使用すること、持丸は、右施設のうち、東北電子の所有にかかる部分を漸次取得し、法人格を早急に取得するよう努力することなどを内容とする協定を締結し、同年七月一日には、仙台市と持丸及び東北電子との間で、右土地部分につき、賃貸借契約が締結された。

ところが、その後、日本コンピュータ学園が持丸から東北電子専門学校の経営権の譲渡を受け、平成元年四月一四日、同校が開校した。

3  本件処分等

原告は、平成三年一〇月一日、被告に対し、条例五条、八条に基づき、本件文書の開示を請求し、被告は、右開示請求に対し、同年一一月三〇日付けで、本件文書は、条例六条三号及び四号に該当するとして、本件文書の開示を拒否する旨の本件処分を行った。

原告は、右処分に対し、平成四年一月二九日付けで、条例一一条に基づき異議の申立てをしたが、仙台市公文書開示審査会は、平成五年七月二〇日付けで、被告の右処分は妥当であるとの答申をし、これを受けて、被告は、同年八月一六日付けで、本件処分についての原告の異議申立てを棄却した。

4  本件提案書ないし本件文書の内容

(一) 本件提案書全体の概要

本件提案書は、「開発計画書」、「開発計画図」、「地区整備計画図」、「配置図」及び「日影図」から成る。

「開発計画書」の内容としては、(1)提案趣旨、(2)地区整備計画の概要、(3)建築物整備計画の概要及び(4)土地取得及び処分(利用)計画の概要が記載されており、そのうち、(2)地区整備計画の概要として、道路、公園等の公共施設と合わせて宅地の整備についての計画及びその手法(なお、その中で、おおよそ別紙図面のBの部分は西ブロック、同Cの部分は東ブロック、同Fの部分は南ブロックとされている。)が、(3)建築物整備計画の概要として、提案施設の概要及びその配置(その内容は、本件土地のうち、おおよそ別紙図面Cの部分(東ブロック)の北側にコンピューター教育施設を、南側に市民情報文化センター、健康・予知管理センター及びコンピューター研修施設を、別紙図面Bの部分(西ブロック)にインテリジェントオフィスビルを建設するというものとなっている)等が、(4)土地取得及び処分(利用)計画の概要として、地区整備費の概要、東ブロック及び西ブロックの各地区開発計画、隣接民有地の現況等がそれぞれ記載されている。

「開発計画図」は、次の「地区整備計画図」、「配置図」のほか、提案施設等の平面図、立面図、断面図、日影図等から成っており、「地区整備計画図」は、公園、道路等の開発基盤整備についての計画図面であり、「配置図」は、提案施設の配置図である。

(二) 本件文書の内容

本件文書は、本件提案書の「開発計画書」のうちの、(4)土地取得及び処分(利用)計画の概要の一部であり、その内容は以下のとおりである。

(1) 一五頁(Ⅳ―2.地区整備費の概要)の、基盤整備費の分担のうち、民有地の取得金額及び移設金額の部分

この部分は、二つの地区整備方針案のそれぞれに関して、民有地の取得費につき、費目を西側取得、南側取得、東側取得に分け、かつ、右費目毎にその負担者を市リザーブ用地、東ブロックデベロッパー、西ブロックデベロッパー、市用地に分けた表に、その金額及び合計額を記載したものである。

(2) 一六頁(Ⅳ―3.東ブロック土地開発計画 3―1民有地の開発手法)の全部

この部分には、民有地の開発手法として、南ブロックの整備につき、①道路拡幅整備の開発手法についての記載、②現況の土地の面積、建物の構造及び面積、現況の図面(民有地部分五箇所の土地及び建物位置を示し、番号を付した上、建物の構造について記載したもの)、③各補償費目(建物再建築補償、動産移転補償、仮住居・仮店舗補償、移転雑費補償)毎の補償費の金額及びその合計、東側道路整備につき、その開発手法についての記載、現況の図面(民有地部分二箇所の土地及び建物の位置を示し、番号を付したもの)とこれに対応する土地の面積、建物の構造及び面積、各補償費目(土地買収、建物再建築補償、移転・その他補償)毎の補償費の金額及びその合計の記載がある。

(3) 一七頁(Ⅳ―3.3―2東ブロックデベロッパーの事業計画)の全部

この部分には、東ブロックにおける事業運営にあたっての長期的な資金計画及びそのための設定条件(総事業費及び資金調達(事業費及び資金の内訳とその具体的な金額等)、教育事業による収支(生徒一人あたりの収入の見込みや今後の授業料等の上昇率見込み、支出総額の総収入に対する割合、今後の事業の収支の見通しなどを収支の内訳とともに具体的数値を含めて記載したもの)及び税に関する内容)が記載されている。

(4) 一九頁(Ⅳ―4.4―2西ブロック民有地、権利者について)の全部

この部分には、権利資産の評価として、西ブロックの民有地の五名の地権者をアルファベットにより表示した上で、二つの地権者群毎の土地、建物の評価額及び合計が記載され、また、権利者に対する補償として、各補償費目(仮店舗・仮住居補償、家賃減収補償費、借家人転出補償費、動産移転補償)毎の補償費の金額及び合計とこれに対する説明(どのような経費を補償費の対象とするかについての細目)が、総事業費の負担区分として、事業費の項目(権利資産(土地)、同(建物)、補償費、建設費)毎に、権利者とデベロッパーとのそれぞれの負担額、その合計、負担割合が、権利者の期待収入として、期待収入額の前提となる権利者持分の具体的数値等と、建物床、駐車場、その他のそれぞれについての賃貸料、一時金(敷金、補償費)の額及びその合計が各記載されている。

(5) 本件文書二〇頁(Ⅳ―4.4―3西ブロックデベロッパーの事業計画)の全部について

この部分には、事業計画の前提条件として、再開発事業におけるデベロッパー及び権利者の負担割合や取得する建物床の具体的数値及び図が、総事業収支として、調達資金と事業支出のそれぞれにつき、各費目及びそれ毎の金額及びその合計、初年度経常収支として、経常収入と経常支出のそれぞれにつき、各費目及びそれ毎の金額及びその合計、長期採算計画の結果として長期採算計画の細目の記載がある。

5  本件条例の内容

本件条例の内容は、以下のとおりである。

(一) 五条 次に掲げるものは、実施機関(市長、教育委員会、選挙管理委員会、人事委員会、監査委員、農業委員会、国定資産評価審査委員会、公営企業管理者及び消防長をいう。)に対して、公文書の開示(五号に掲げるものにあっては、そのものの有する利害関係に係る公文書の開示に限る。)を請求することができる。

(1) 市の区域内に住所を有する者

(2) 市の区域内に事務所又は事業所を有する個人及び法人その他の団体

(3) 市の区域内に存する事務所又は事業所に勤務する者

(4) 市の区域内に存する学校に在学する者

(5) 前各号に掲げるもののほか、市の行政に利害関係を有するもの

(二) (開示しないことができる公文書)

六条 実施機関は、次の各号の一に該当する情報が記載されている公文書については、公文書の開示をしないことができる。

(1) 法令又は条例の定めるところにより公開することができないものとされている情報

(2) 個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)で、特定の個人が識別され得るもの。ただし、次に掲げる情報を除く。

イ 法令、条例等の定めるところにより何人でも閲覧することができるものとされている情報

ロ 公表することを目的として作成し、又は取得した情報

ハ 法令、条例等の規定に基づく許可、免許、届出等の際に作成し、又は取得した情報で、公開することが公益上必要であると認められるもの

(3) 法人その他の団体(国及び地方公共団体を除く。以下「法人等」という。)に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、公開することにより、当該法人等又は当該事業を営む個人の競争上又は事業運営上の地位その他社会的地位が損なわれると認められるもの。ただし、次に掲げる情報を除く。

イ 事業活動によって生じ、又は生ずるおそれがある危害から人の生命、身体及び健康を保護するために、公開することが必要であると認められる情報

ロ 違法又は不当な事業活動によって生じ、又は生ずるおそれがある支障から人の生活を保護するために、公開することが必要であると認められる情報

(4) 監査、検査、契約、争訟、交渉、渉外、試験その他実施機関が行う事務事業に関する情報であって、公開することにより、当該事務事業又は将来の同種の事務事業の公正又は適正な執行に支障が生ずるおそれがあるもの

(5) 市の機関内部又は機関相互における審議、検討等の政策形成過程における情報であって、公開することにより、公正又は適正な政策形成に支障が生ずるおそれがあるもの

(6) 国、地方公共団体又は公共的団体(以下「国等」という。)との協議、国等からの依頼等に基づき作成し、又は取得した情報であって、公開することにより、国等との協力関係が損なわれると認められるもの

(7) 行政上の義務に違反する行為の取締り又は犯罪の捜査に関する情報であって、公開することにより、その遂行に支障が生ずるおそれがあるもの

三  以上の事実を前提に、本件文書の非開示事由該当性の有無について判断する。

1 本件文書全体についての非開示理由について

被告は、(一)本件提案内容には、提案者たるDグループもしくはこれを構成する各企業(以下「提案企業」という。)の技術ノウハウ、信用力に関する情報等が含まれ、これらが公開されることになれば、提案企業の競争上又は事業運営上の地位が損なわれることになるとして、本件文書が条例六条三号に該当するとし、また、(二)本件募集要領において、主催者は、優秀計画の公表等提案募集実施に関する報告のため必要な場合を除き、応募提案書類その他の応募者から提出された書類を公表しない旨定めていたため、本件文書を公開することになれば、右条件に明らかに反することになり、関係当事者間の信頼関係が損なわれ、将来の同種事業の公正又は適正な執行に支障が生ずるおそれがあるとして、本件文書が条例六条四号に該当すると主張するので、この点につき検討する。

(一)  条例六条三号該当性について

(1)  前記認定事実によれば、仙台市は、自ら主体となって推進する都市の再開発事業の一環として、もともと国鉄の所有地であった本件土地を国鉄から取得した上で、その開発手法としていわゆる民間活力を導入することとし、そのための本件土地の譲渡先ともなる民間の開発協力予定者の選定手続として、右土地についての開発計画を公募する本件提案募集を行ったものである。一方、本件のような国鉄用地の処分に関しては、同用地の持つ公共的な性格や処分による社会的、経済的影響などから、当時、一般の関心も高く、その公正さ、適切さが要求されていたことは公知の事実であり、従って、本件においても国鉄は、本件土地の仙台市への売却に際し、その後の利用方法について、公共性が維持されることを条件としていたため、仙台市が本件提案募集において予定していたような大幅な民間活力の導入による開発手法には難色を示しており、仙台市も、結局、国鉄の提案した条件を容れて右のような計画を断念せざるを得なかったものである。このような経過からしても、本件提案募集及びこれに対する応募ないしは選考については、本来、その公正さや透明性が強く要求され、これに応募する企業の提案も、優秀として採用されたならば、広く一般の監視、批判にさらされ、これに応えるものであることが当然要請されていたものということができる。

加えて、本件提案募集に際しては、その募集要領において、優秀計画の公表等提案募集実施に関する報告のために必要な場合には、公表されることもあり得ることを示していたものであって、本件提案募集に応募した企業は、優秀計画として採用された場合には、その提案が公開されることも当然予測すべきものであったということができ、本件文書の公開によって、提案企業の保護に値する技術ノウハウないし信用力に関する情報等の侵害が生ずることになるとは解し難い。

(2)  また、前記認定によれば、本件処分時には、本件提案のうち東北電子計算機専門学校の建設以外は実現される見込みがなくなっており、また、唯一実現された右東北電子計算機専門学校についても、その経営主体は、既に本件処分時には、Dグループに属する提案企業の一つである東北電子専門学校ではなく、同校から経営権の譲渡を受けた日本コンピュータ学園が経営主体となって開校していることなどからみて、これら提案企業の競争上又は事業運営上の地位が害されるような状況にはなかったものということができる。

(3)  従って、この点に関する被告の主張は採用できない。

(二)  条例六条四号該当性について

前記のとおり、本件提案募集ないしその選考過程には、本来、公正さや透明性が求められていたことからすれば、これに応募する企業の提案書類も、優秀として採用されたならば、当然市民の批判にさらされることが求められる性質のものであり、このことは応募企業においても当然予測すべき事柄であったといえる。

また、本件募集要領の記載は、「優秀計画の公表等提案募集実施に関する報告のための必要な場合を除き」応募提案書類等を公表しないとされていたものであり、右のように、「優秀計画の公表等提案募集実施に関する報告のための必要な場合」を除外しているのは、優秀と認められ、採用された計画については、その提案内容が公表されることを当然予定していたものと考えられる。従って、優秀とされた計画の提案書たる本件文書を公開することは、右除外された場合に該当するということができるから、右募集要領の文言自体からも、提案企業は、優秀と認められた場合に、その提案書類が公表されることは当然予測すべきであったといえる。

右のとおり、本件募集要領に応募提案書類等を公表しないとの定めがあることをもって、本件文書の公開により、仙台市と提案企業との間の信頼関係が損なわれるとみることはできないし、仮に、右の定めにより、提案企業が、応募提案書類等を公表されないことを期待することがあったとしても、前記のような本件提案募集ないし選考過程における公正さや透明性の要請に照らせば、右期待が保護に値するものということはできないから、この点に関する被告の主張も採用できない。

2  本件文書の各非開示部分毎の非開示事由該当性の有無

右のとおり、本件文書は、その性質上、全体として非開示事由には該当しないものというべきであるが、被告においては、さらに、本件文書の各非開示部分毎に非開示事由があるとした上、本訴において新たに非開示事由として、主張を追加した部分もあるので、なお、この点についても検討する。

(一) 一五頁の非開示部分(西側民有地の取得費、南側民有地の移設費及び東側民有地の取得費の金額の記載)について

右非開示部分につき、被告は、その公開により、各民有地の補償費の内容が推定され、当該土地の地権者に予断を与え、仙台市又は公社による用地交渉に支障が生ずるとして、本件文書が条例六条四号に該当する旨主張する。

しかしながら、右金額は、対象となる民有地毎の取得費や移設費を掲げたものではなく、これらの各ブロック毎の合計額に対する仙台市やデベロッパー毎の分担すべき費用を掲げたに過ぎない上、その評価も、本件処分時から六年も前の本件提案募集時以前のものを前提としたものであること、また、買収交渉の主体の点でも、仙台市又は公社による買収を前提としたものではなく、民間企業たる提案企業による取得を前提とした取得費等の予定といった性格のものに過ぎないことが明らかであり、本件処分時において、このような記載を公開することにより、仙台市ないし公社による今後の買収交渉等に具体的にどれほどの支障が生じ得るのか、はなはだ疑問であり、このような可能性を認めるに足りる証拠もない。

よって、右被告の主張は理由がない。

(二) 一六頁(①現況の土地の面積、建物の面積・構造及びそれらの位置、②当該民有地の補償費及び土地買収予算の記載)について

右非開示部分につき、被告は、(1)右①は、個人の財産状況に関する情報であり、個人のプライバシーが侵害されるとして、条例六条二号に該当するとし、また、(2)右①、②の記載を組み合わせることにより、各民有地の補償費が推定され、仙台市又は公社による買収に影響するとして、条例六条四号に該当する旨主張する。

しかしながら、前記認定事実によれば、右(1)の点に関する記載は、おおむね各民有地毎の土地ないし建物の位置、面積、構造といったものに過ぎず、現地の検分あるいは公図や登記簿等で容易に判明する事柄以上のものではない。そして、前記のとおり、条例六条二号イにおいて、法令、条例等の定めるところにより何人でも閲覧することができるものとされている情報が、公開しないことができる情報から除外されている趣旨に照らしても、右記載の公開により、現行法制上既に許容されている範囲を超えて個人のプライバシーを侵害するということはできない。

さらに、(2)の点についても、前記認定事実によれば、当該補償費の記載は民有地全体の各補償費目毎の補償費の金額及びその合計というものであって、対象者個別の財産を直接識別し得るものではない。そして、(一)で述べたとおり、右補償費の記載は、本件提案募集時点での、民間企業による予定に過ぎず、その基礎となる土地価格の点でも、買収交渉の主体の点でも、本件処分時において行われていた買収とは前提を異にするもので、買収交渉等の妨げになるとは考え難いし、このような可能性を認めるに足りる証拠もない。

よって、右の点に関する被告の各主張も理由がない。

(三) 一七頁(東ブロックにおける事業の長期事業収支及びそのための設定条件(総事業費、資金調達、教育事業による収支)の記載)について

右非開示部分の記載につき、被告は、最も高度な企業プライバシーに関する情報であり、提案企業ないし日本コンピュータ学園の競争上又は事業運営上の地位その他社会的地位が損なわれるとして、条例六条三号に該当する旨主張する。

しかし、この点についても、既に1(一)において述べたとおり、本件提案募集及びその選考過程において、公正さや透明性が求められていたこと及び優秀計画と認められた場合にはその計画提案が公開されることは当然予測すべきであったことからして、これを公開することによって保護に値するような企業プライバシー等の侵害はないものというべきである。さらに、右部分の記載は、前記認定のとおりの内容からすれば、実現しなかった計画も含む東ブロックにおける事業全体の収支を記載したものに過ぎないし、また、本件処分時において、右記載の内容が実現された東北電子専門学校の経営主体は、前記のとおり、既に本件提案募集時の提案企業とは異なる者となっている。そして、その敷地についても、右提案募集時には仙台市からの譲渡を受けることになっていたものが現実には賃貸されることになるなど、本件提案募集時とは前提が大幅に異なっており、これらの事実を総合すれば、本件文書の公開により、提案企業あるいは日本コンピュータ学園の競争上又は事業運営上の地位その他社会的地位が損なわれるとは認め難いものというべきである。

よって、この点に関する被告の主張は理由がない。

(四) 一九頁(西ブロック民有地の権利資産の評価額、権利者に対する補償額とその説明、総事業費の負担区分額及び権利者の期待収入の額の記載)について

右非開示部分の記載につき、被告は、(1)民有地の権利資産の評価額の記載は、個人の財産状況に関する情報であり、個人のプライバシーが侵害されるとして、条例六条二号に該当するとし、また、(2)権利者の期待収入の額等の記載は、本件提案書中で建設を提案されている西ブロックの賃貸オフィスビルの経営上のノウハウに関する情報であり、提案企業の競争上又は事業運営上の地位その他社会的地位が損なわれるとして、条例六条三号に該当するとし、さらに、(3)本件文書の民有地の権利資産の評価額、権利者に対する補償額等の公開は、本件提案と同様の手法の再開発事業を目的とする準備組合による再開発事業の支障となるとして、条例六条三号に該当する旨主張する。

しかしながら、まず、(1)の点については、前記認定のとおり、五名の地権者をアルファベットで表示し、これを二つに分けてそれぞれの土地、建物の評価額を示したもので、直接個人毎の財産を識別できるようなものではない上、右評価額は、本件処分時から六年も前の本件提案募集時以前の時点での、民間企業による評価に過ぎず、このような記載を公開することにより直ちに個人のプライバシーが侵害されるということはできない。

また、(2)の点についても、既に述べたとおり、そもそも、提案企業は優秀計画と認められた場合の提案書の公開を予測すべきであったのであり、公開によって保護に値するような経営ノウハウ等の侵害はないといえる。これに加えて、前記認定のとおり、本件提案募集の後、その提案募集の実施区域に大幅な変更があり、その結果、提案企業の計画のうち、東北電子計算機専門学校の建設だけは実現されることとなったものの、右非開示部分の記載にかかる賃貸オフィスビルは、本件処分時には既に実現しないこととなっていたのであるから、現実にも提案企業の事業運営上の地位等を損なうとは考え難い。

そして、(3)の点についても、(一)及び(二)について述べたのと同様、ここに記載されている土地の評価額ないし補償費の額は、本件提案募集時以前の、民間企業による取得を前提とした予定額に過ぎず、それから六年以上が経過し、経済状況が変化した本件処分時以降の準備組合による買収とは前提を異にするもので、右準備組合による買収交渉等の妨げになるとは考え難い。

よって、右の被告の各主張はいずれも理由がない。

(五) 二〇頁(西ブロックの事業計画の前提条件、総事業収支、初年度経常収支、長期採算計画の記載)について

右非開示部分の記載につき、被告は、前記オフィスビルの経営上のノウハウに属する情報であり、経営戦略ともいうべき企業プライバシーに関する情報であるから、この公開により提案企業の競争上又は事業運営上の地位その他社会的地位が損なわれるとして、条例六条三号に該当する旨主張する。

しかしながら、この点についても、既に説示のとおり、そもそも、本件提案募集及びその選考の性格からみて、公開によって保護に値するような経営上のノウハウ等の侵害があるとは考えられない上、前記のとおり、右オフィスビルは本件処分時には既に実現しないこととなっていたのであるから、本件提案をなした企業の事業運営上の地位等を損なうとは認め難い。

よって、この点についての被告の主張も理由がない。

3  まとめ

従って、本件文書は、条例の非公開事由のいずれにも該当しないから、その余の点について判断するまでもなく、これを公開しないとした本件処分は不適法である。

四  よって、原告の請求は理由があるから認容し、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官梅津和宏 裁判官大澤知子 裁判官大野勝則は、海外出張のため署名捺印できない。 裁判長裁判官梅津和宏)

別紙文書目録〈省略〉

別紙国鉄花京院用地土地利用計画図〈省略〉

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